こちらと私の仕事のサイトをご覧になったKZ900LTDのオーナー様から、バルブステムシールの交換依頼が入りました。
なにやら、世のバイク屋さんは高額なヘッドのオーバーホールはしても、ステムシールだけの交換なんてのはやってくれないそうです。それで、うちの特殊工具でなんとか安くできないか、ということなんです。
うちのハスコーのバルブコッターツールは、まだバイクに使ったことがないので、「できるかどうかわかりませんよ」ということで、とりあえず請けてみました。
さて、こんなことをしているZオーナーやショップなんて、インターネット上では見つけられなかったから、結構希少な記事になるかと思いますよ(笑)
さあ、タンクを外して、フレームとヘッドの間隔を確認です。やはり2番3番は上から叩くやり方は出来なさそうです。そうすると、付属のレバーを使ってテコの原理で押し下げる方法ですね。
ただ、付属のレバーはコッターを取り付ける時に使用するもので、外す時用にはできていないから、ちょいと工夫が必要です。
カムを外して、シムなどを外していきます。
コッターを外すツールにちょうど21mmのプラグソケットがぴったりです。これで上手くテコを使ってバルブが押せます。
グイグイと何度か押すと、先っちょの円筒状の磁石にコッターが飛び出てきてくっつきます。2枚ともくっつけば完了で、バルブスプリングを取って、ステムシールを専用ツールで引っこ抜きます。
ちなみに、この間は、プラグホールからエア圧をかけているので、バルブは落っこちないようになってます。
そして新しいステムシールを専用ツールで押し込んで、スプリングを入れ、今度はコッターをはめ込みます。
今度のツールは外すツールよりは長いのですが、テコレバーを使うには少し短いんです。そこで今度は短いソケットレンチをかぶせてグイグイと押します。
意外とすんなりコッターがはまりました。
ここまで出来れば、あとは同じ事の繰り返しなので、一安心です。
最初のツールの組み合わせや押す方向を探るのに少々時間がかかりましたが、コツを掴んでからは、手早く作業が進みました。
ちなみに、本来の上から叩くやり方も試してみましたが、、、
シムキャップの入る穴の壁面を傷つけてしまいそうで、おっかなびっくりでやってると、まったくコッターが取れませんでした。
ということで、シリンダーヘッドを外さずに、バルブステムシールの交換が無事できました。
これでしたら、交換部品がヘッドカバーガスケットとカムシャフトプラグ、ステムシールだけで、作業時間もそれほどかからないので、とても安くできますね。
しかし、、、、これではバイク屋さんは利益が少ないから、多分やらないでしょうね。